2012年9月4日火曜日

北海道訪問先:医療法人社団豊生会 東苗穂病院

事業担当者:理事長 星野豊様、看護部長 花海美知子様、 事務部長 田原伸一様
      事務部長補佐 行方克浩様、連携センター主任 加藤美奈様
     在宅医療担当事務長 橋本誠二様、タッピーねっと事務局 葛西千鶴子様
訪問日時 :201394()  930分~1050
北海道札幌市内には3拠点事業所が、平成24年度 在宅医療連携拠点事業所の採択を受けました。
その1つ、タッピーねっとの東苗穂病院様へ訪問させて頂きました。
朝早い時間帯にも関わらず、多数の関係者の皆様にご対応を頂き誠にありがとうございます。

こちらが東苗穂病院です♪

医療法人豊生会 東苗穂病院では、『地域に根ざした豊かな医療と福祉を創造する』ことを法人理念として、今まで地域に根差した活動を札幌市東区にて25年以上にわたり活動を展開されています。 東苗穂病院は、急性期の一般病床 60床、療養病床 60床、回復期病床 41床のケアミックス病院であり、訪問診療や居宅訪問指導はもちろんの事、夜間診療や急患対応をされておられています。
 その他、豊生会では、在宅療養支援診療所やクリニック、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所、介護老人保健施設、デイサービス、グループホーム等様々な医療・介護事業所を保有される、大規模な在宅医療連携拠点事業所です。
地域の方々が、いつまでも住み慣れた地域でくらしていけるようにと、住民の声を聞きながら事業展開された結果、今のようなグループが成形されました。


札幌市には21カ所の包括支援センターがあり、東区には3か所の地域包括支援センターがあります。
東苗穂病院が位置する地域は、第2地区エリアにあたり第2地区地域包括支援センター長 村山様にも訪問時にご臨席を頂き地域のご説明を伺いしました。
札幌市東区のマスコットキャラクターは玉ねぎがモデルの「タッピー」です。(日本の玉ねぎ栽培は、明治4年海外から輸入した趣旨を札幌村(現在の札幌市東区)で栽培・販売したのが始まりです。)東苗穂病院が創設されたころは、このあたりは玉ねぎ畑だったそうです。
今は大都会となっており、畑の姿は見えませんでした。
こちらの地域で生まれ育ち、医師として理事長としてこちらの地域を愛し、ずっと見守り続けてこられた愛情を強く感じました。

こちらのタッピ―にちなみ、東区東部地区在宅医療連携協議会でのネットワーク名は
「タッピ―ねっと」です。
 東区では、15年ほど前より「東区在宅医療支援協議会(ケア連絡会)」が立ち上がっており、在宅医療に関わる多職種が顔の見える関係が構築されておられます。
東区在宅医療支援協議会の代表を星野先生が長年務められておられます事から、今回の在宅医療連携拠点事業所の活動がスムーズに参入し、既存のネットワークと連動した活動が可能となった大きな要因だと感じます。

「東区在宅医療支援協議会(ケア連絡会)」は札幌市東区全体を包括しており、多数の多職種や様々な事業所が参加をされておられ、大きく緩やかな地域力の向上に向けた連携強化や機能の共有を進められておられます。
東区在宅医療支援協議会ネットワーク規模が大きい事から、全ての方々と顔の見える関係の構築が難しいという点もあります。

「タッピ―ねっと」はさらに小さな地域に限定し、各ケースの検討や民生委員や住民の方々を交えて、より地域に密着した医療・介護を中心とした地域のネットワークを構築されました。
 小さなエリアの関係者としっかりと顔の見える中で地域に求められる活動を展開していきたいという思いから、既存のネット―ワークと連動した形での、小グループを立ち上げられました。
★こちらは理事長の星野先生です★
 
優しいお見かけ通りの、本当に温かいお人柄でした。また、星野先生はケアマネージャー資格をお持ちであり、多職種の働きや介護に関して深いご見識をお持ちでした。
長年地域を思い、地域の為に多職種の方々と連携された活動をご先導されておられるますご様子をご教示頂き、地域における拠点事業所に求められる資質というものを学ばせていただく貴重な機会となりました。





具体的なタッピ―ねっとの活動についてもおうかがいいたしました。
東苗穂病院様は、東区の第2包括支援センターのエリアを対象とされており、人口が約9万人の地域で活動展開をされておられます。
すでに7月に第1回 タッピ―ねっと 合同会議を開催されておられ、100名以上の多職種によるご参加を頂きました。
当事業における説明やタッピ―ねっ関するご説明、地域の連携に関する阻害要因の抽出を実施されました。
連携においては、医師への相談の難しさ、連絡の方法選択の難しさが大きく取り上げられたとの結果をうかがいました。

タッピ―ねっとでは、基盤として多職種連携や、地域包括ケアに向けた意識共有、協働体制の構築が先駆的に進められておられましたので、『多職種連携の必要性』や『地域包括ケア』に関する理解への支援が必要ない状態であったことも、非常に速やかな活動開始であったように感じました。
行政や医師会への受託前からのご挨拶やご説明を進められておりました事重要であったと感じます。
写真右より、

理事長        星野豊先生
タッピ―ねっと事務局 葛西千鶴子様
連携センター主任   加藤美奈様
事務部長       田原伸一様
看護部長       花海美知子様
事務長        橋本誠二様
情報企画課長     行方克浩様







星野先生が所属される札幌市医師会では、10年程前より「在宅療養支援名簿」が作成されておられます。
往診の不可や相談対応可能時間等が作成され、第3版まで改訂を繰り返され、情報共有されている事を伺い、非常に驚きました。
平成23年度の在宅医療連携拠点事業所が作成されておられました、地域の在宅医療支援ガイドマップのような情報を作成して、より多職種間での双方向の情報共有が可能とできるように進めていきたいとの方向性を伺いました。
地域の各組織の活動を把握したうえで、さらに必要な活動や補強が求められる活動を補う事が地域の医療コーディネ-ターである在宅医療連携拠点事業所に求められる活動だと感じます。
また、札幌市東区役所との打合せの中で、災害時の地域で療養される患者様の把握を進めていく必要があるのでは、という話が出たことをお伺いいたしました。
大きな災害がいつどこで発生するのかわからないという点や個人情報保護の観点から、地域の要支援者情報を収集し共有することには難しい面がありますが、区役所を中心として、町内会・民生委員の皆さんは患者や住民の為に直接接しておられることから、地域として把握し、災害時に支援できる体制の構築を主体的に整える必要がある事を感じられておられます。

各地域で、自助・互助・共助を最大限に活用した地域包括ケアシステム構築をすることをめざし、顔の見える関係作りから長い時間をかけて進められてきた、タッピ―ねっとでは、今後の更なる活動展開が期待されます!
地域包括支援センター長より、民生委員や住民の方々、在宅療養患者様の主体的情報発信や情報共有を基に、要援護者の把握と、優先的支援の提供体制の構築、対象者に応じた療養施設の確保(人工呼吸器装着患者や精神患者等)などの検討を進めたいとの方向性を伺いました。
特別養護老人ホームやグループホームを災害時に避所として運営し、支援の必要な方々を優先的に適切な対応が可能な避難所へ入っていただけるように仕組みつくりを進められています。
地域包括システム構築において、在宅医療連携拠点との連携は非常に有用であることをご理解いただいております事をうかがいました。
今までも地域を包括した活動を展開されてこられた、包括支援センターの活動と、医療者との連携に困られている地域の多職種の方々への支援を中心に展開される在宅医療連携拠点事業所の活動が連動し、地域で住民がいつまでも安心して暮らせる地域づくりに向けた更なる活動展開につなげて頂ければと願います。
 在宅医療に関する地域資源マップにつきましては、既に大方が完成しておられました!
googleマップを活用した、在宅医療に関する資源マップをすでに完成に近い状態で作成されておられ、ホームページ上に掲示される直前の仕上がりを見せて頂きました。
今後はインターネット上で地域資源マップ情報を掲示し、また情報更新も定期的に行い、多職種や住民にも活用頂く事が出来るような情報ツールになればと事を念頭に取り組まれています。

東区では、介護系事業所や訪問看護ステーション等医療系事業所が最も多い地域であり、約220か所の事業所が密集しています。大都市圏の大阪市内に匹敵する事業所の多さです。
故に、関係事業所間の連携やネットワーク構築必要性への認識が高まっており、行政を中心に主体的な連携構築に向けた動きがとられています。
お互いの主体的な思いから構築された連携は対等の関係性が保持されやすく、有機的なパートナーシップへ成熟された重要な要素だった感じます。
94日に見せて頂いたホームページイメージ図
 
*現在のタッピ―ねっとホームページ です。http://www.tappynet.jp/map.html
 
札幌市では、平成23年度から在宅医療連携拠点事業のご協力を頂いております、西岡病院様の「とよひらリンク」が活動をされています。
2012 827日(月)18:3020:00に開催されました 、とよひらリンクが中心となって開催されます、第2回 札幌市豊平区西岡 ・福住地区在宅医療連携拠点事業推進協議会にて『タッピ―ねっと』の活動のご報告をされました。
北海道札幌市では、同市内に3つの在宅医療連携拠点事業所が採択を受けられました。
多くの人口と多くの事業所を包括する札幌市ですので、3つの在宅医療連携拠点事業所が互いに支援し合いながら、面的な医療からのアプローチを主体とした連携促進による在宅医療の活性化に繋がる有効な活動展開につなげて頂いている事に大変感動を致しました。
 人同士の心が繋がる事で連携がより強固なつながりへと発展致します。
多くの方が互いに助け支え合える関係の連結役として、タッピ―ねっとの皆様の温かいお人柄が必要不可欠であることを感じました。
最後に星野先生が、『いい所ばかりをお話ししてしまいましたが、本当はまだまだなんですよ。これからもよろしくお願いします』と謙遜のお言葉を口になさいました。
素晴らしい活動をされてきた星野先生と、星野先生を支えられてきた『タッピ―ねっと』の皆様の奥ゆかしいお人柄が本当に素晴らしいと感じております。
20年以上も地域で皆様をつなぐ活動を継続されてきた事は十分な実績です。
今後も引き続き地域を先導され地域全体が、一体となりますます住みやすい街へとご発展されます事を楽しみに致しております。

朝早くからご対応を頂き誠にありがとうございました。
今後とも何卒よろしくおねがいいたします!