2012年11月7日水曜日

大阪府訪問先:社会医療法人生長会 ベルピアノ病院



訪問日時:2012年11月7日(水)10:00~

事業担当者:院長 戸田 爲久先生

 
 本日は、大阪府の在宅医療連携拠点事業所、社会医療法人生長会 ベルピアノ病院へ訪問させていただきました。
 社会医療法人生長会は1955年府中病院を開設以来、急性期医療から回復期施設、在宅医療まで保健、医療、福祉のトータルヘルスケア体制を構築してこられました。
平成244月、医療療養型病院愛風病院の新築移転を行い、ベルピアノ病院として開院しました。回復期リハビリテーション病床48床、医療療養病床144床で、特別養護老人ホーム「ベルアルプ」、サービス付き高齢者住宅「ベルヴィオロン」を併設しています。

 
 
関連法人の社会福祉法人悠人会「サンガーデン府中(介護老人保健施設)」は、嚥下障害に対する経口摂取の取り組みなど、看取りケアに対して評価が高く、当センター看護部とともに以前に視察に訪問させていただいたことがあります。

「愛の医療と福祉の実現」「地域と職員と共に栄えるチーム」を各法人の共通理念として掲げています。患者や利用者が主体であり、医療者等はそのパートナーとして協力するとして、強い信頼関係の築かれた医療と福祉を目指す決意を「ベストパートナーシップ宣言」として明文化されています。


ベルアンサンブルに隣接する社会医療法人生長会が運営する院外調理センターベルキッチン。
法人内外の病院や介護施設に安全性を追求したこだわりの食事を提供しています。



法人の理念が掲示されていました 
 
ベルピアノ病院のある堺市では、いいともネット(堺市おける医療と介護の連携をすすめる関係者会議)、CCコネット(堺地域「医療と介護の連携強化」病院連絡協議会)を中心に医療と介護の連携に向けた取組を行っています。

在宅医療連携拠点事業においては、いいともネット、CCコネットのほか、医師会、歯科医師会、薬剤師会、堺市、社会福祉協議会、訪問看護ステーション連絡会、介護支援専門員協会、介護老人保健施設部会、大阪府立大学、地域住民代表等で構成された地域在宅事業推進会議を7月に開催しました。
会議で承認された年間事業計画をもとに、多職種で構成される4つの分科会を立ち上げ、課題と解決策の抽出を行っておられます。

当事業に取り組むに当たり、ベルピアノ病院では非常に詳細な現状把握、関係者からの意見収集から努められました。
現状の把握を的確に綿密に行う事で、地域のニーズや住民や関係者の求めるものがより鮮明に共有することが出来ます。
大都会大阪府にある、人口90万人近い堺市でのこのような活動からもベルピアノ病院の機動力の高さを感じることが出来ます。

『多職種連携の課題に対する解決策の抽出』分科会では、「緊急対応体制が未整備なため在宅医療従事者の不安が非常に強い」「医療と介護の壁を越えて他職種が連携して何かするという経験が不足しているのではないか」といった意見があり、医療や介護事業所の課題、解決策に関して多角的な視点で議論されました。

また「『連携』『緊急』という言葉の認識が、急性期病院に携わっている職員と、療養病棟や介護施設、在宅で携わっている職員と立場によって違う」という意見も出されたそうです。
大阪府立大学教授の協力を得て、「連携」に対する意識調査を実施し、所属機関や職種による認識の差異を分析して、連携の課題に対する解決策に結び付けていきます。
大学とのコラボレーションによる学術的な解析を行うことで、職種間での語彙の齟齬を解消し、医療と介護の共通言語の獲得を目指す特徴的な取組です。


院長 戸田爲久先生(右から2人目)
 
『在宅医療従事者の負担軽減』分科会では、地域のレスパイト機能の強化を目標の一つに掲げ、レスパイトに対する現状を把握しました。レスパイト可能な医療機関の情報を集約して情報提供し、レスパイト機能を定着、推進する上でのバックアップ体制を含めた問題点をメンバー間で共有しました。
 医療機関間の協力を図り、レスパイト入院受入れ体制構築を目指します。
 ベルピアノ病院の療養病床でもレスパイト入院の受け入れを検討されています。
また併設する特別養護老人ホーム「ベルアルプ」でも酸素供給など医療用配管の設備された個室を設けており、将来的に療養通所介護の認可を取得予定だそうです。
 

 
『効率的な医療提供のための多職種連携』分科会では、医療・介護資源のマップ、情報冊子の作成と、事例検討会を実施しました。

資源マップ作成では、堺市の事業所が希望する情報項目を分科会で議論して作成し、配布する予定で、項目についての検討希望用紙を発送したところだそうです。

事例検討会では、複合的な問題を医師、歯科医師、薬剤師、医療機関の看護師を含めた多職種で協議しました。これまで多職種が集う場がなかったため、地域の機能が総合的に理解できる、様々な立場や職種による多角度からの事例検討が可能になり、顔の見える関係構築の重要な機会となりました。


施設内にある会議室 地域の自治会会合など催事に利用できます。各分科会もこちらで開かれました。
 
ベルピアノ病院の在宅医療連携拠点事業所としての活動の大きな成果として、地域を巻き込んでの活動展開があげられるように感じます。
地域包括ケアシステムの理論を念頭に置き、医療や介護は住民生活のサポーターとしての立ち位置を明確にして活動を進められました。
地域の主役は住民であるという事を強く打ち出し、多くの方々の協力、理解につながったと印象深く感じております。
継続的に住民の意義ある取り組みを展開される行政との協働も積極的に進められたことは、地域の方々にとって大変有益な活動となったのではと感じております。

 
 
『地域住民への普及啓発』分科会では、平成25年1月に講師として、女優小山明子さ
ん、白十字訪問看護ステーション秋山正子さんを招き一般市民向け講演会を開催します。堺市健康福祉局の協力を得てポスターを配布予定です。

「ベルピアノ病院」、「特別養護老人ホームベルアルプ」、「サービス付高齢者住宅ベルヴィオロン」で安心して過ごせる地域づくりの三重奏「ベルアンサンブル」を奏でます♪

当日はお忙しい中、長時間対応いただきありがとうございました。
皆様のさらなるご活躍を期待しております。